保育所保育指針には、読み聞かせのねらいについて以下の記載があります。
保育士等や友達と心を通わせる中で、絵本や物語などに親しみながら、豊かな言葉や表現を身に付け、経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり、相手の話を注意して聞いたりし、言葉による伝えあいを楽しむようになる。
絵本の読み聞かせによるメリットとは
・感情が豊かになる
読み聞かせによって子どもたちは絵本の世界に入ります。読み手は読む工夫をすることが大切。登場人物になりきって読み聞かせをすることで子どもたちが更に絵本の世界に入りやすくなります。
登場人物の多い絵本では区別がつきやすいように声色を変えて読むと良いですね。絵本の世界に入り込むことで、出てくる登場人物の気持ちの変化や行動を理解して人の気持ちに寄り添うことができます。
人の気持ちに寄り添える子どもは素敵な子どもに育つかもしれません。これから先の人間関係の構築にも役に立つでしょう。
・想像力を育む
想像力とは、“自分の身は自分で守るためにできた力”なのです。想像力には2種類あり、過去に起こったことを頭の中で思い出せる能力とまだ起こってないこと・生み出されていないものを想像して発信できる能力があります。
想像力は生きる上で大切なもの。絵本で想像力を身につけることで色んなことができるようになります。
園での生活の中だと自分から目標を立てたり、色んな状況を判断できるようになるためお友達とのトラブル回避できるようになるかもしれません。また、大人でも驚くような発想で工作や遊びの中で活かすことができます。
・自己肯定感を高める
自己肯定感とは「ありのままの自分を素直に受け入れられることができる。自分の価値観や存在を肯定できる感覚」の事。
絵本の読み聞かせによって「自己肯定感」を高める事は、交友関係や学力にも良い影響を及ぼし、自信を持って行動ができる子になる可能性が高いといわれています。更に、「自己肯定感」が高い事で他人の評価を気にせず、自分に自信を持って活動することができるようになります。
子どもは空想の世界を現実のこととして「体験」する
実は、ここに大人と子どもの違いがあります。
6歳位までの子どもは、まだ「現実」と「空想」の区別があまりつかないことがあります。
夢で見たもの、絵本やテレビで見たもの、親や友達から聞いたことを自分が体験したことのように話すことがあります。
そして、年齢が上がるにつれて、現実と空想の世界の境ができていきます。
日々成長していく過程で、現実・空想をはっきり区別できるようになるのです。
幼児期は人生の中で唯一、空想の世界で見たり聞いたりしたことを「現実」の出来事として体験できる貴重な時間ともいえます。
この時間を大切にしていきたいですね。
空想の世界に入れるような読み聞かせ
当園では、日常的に絵本や紙芝居の読み聞かせをする際は、「子どもの年齢に応じた」読み聞かせとなるよう努めています。
わからない言葉・聞きなれない言葉があっても、声のトーンを変えたりジェスチャーを使って、
「絵本の登場人物は今こんな気持ちだよ」と伝わるようにです。
お話の内容をそのまま理解できる子もいれば、周りの友達の反応まで見て雰囲気で内容を理解しようとする子もいます。
初めてする読み聞かせでも、その物語の内容が好きになると、二度目以降の同じ内容の読み聞かせであっても、より集中して聞いています。
また、読み手(保育士)が異なれば、聞き手(子ども)の好きな話が変わることもよくあります。
保育園のみならず「お家での読み聞かせ」も楽しみにしている子どもたちも多いことでしょう。
読み聞かせが多いほど空想だけではなく「想像力」へと発達し、さらなる成長が期待できると思います。
保育士くらぶ こどもまなび☆ラボ 影山聖子 (社)JAPANよみきかせ協会 より一部引用